デパ地下のグルメ - のりのりこ
2019/03/22 (Fri) 23:36:38
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最近、悩んでいることがあります。
台本を見て、あ、これはこんな風に演じればいいんだ、とだいぶわかるようになりました。
ただ、その一方で、私、よくドキュメンタリーを見るのですが、ドキュメンタリーにも人間ドラマがあり、見ていて、泣けるシーンもすごくあります。感動のあまり、号泣することも多いです。
そんな時思うのは、ドキュメンタリーに登場する人たちは、動きもセリフもまるで映画やドラマとは違うということです。
たぶん、映画やドラマは、お客さんにわかりやすいように、誇張したり、セリフをはっきり話しているのだと思うのです。
確かに、それはわかりやすいのですが、あくまで作り物、紋切り型というべきもので、それはそれでつまらないのでは?とか思います。
スーパーに売っている、きれいに洗ってきちんと包装してある野菜を買うか、農家に直接行って畑を掘ったばかりの野菜を買うか、の違いでしょうか?
私は、野にある野菜の方が、見ている人の胸に届くように思うのですが……
すみません、何もわからぬ新参者が生意気なことを言っているのかもしれませんが……
Re: デパ地下のグルメ - ウィナーズラボ
2019/03/23 (Sat) 02:44:47
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のりのりこさん、こんばんは。
ドキュメンタリーとドラマ、つまりノンフィクションとフィクションの違いとは何かということですね。
ではまず「自然の芸術」と「人工的な芸術」の違いを考えてみましょう。
たとえば、美しい海や山、そしてそこに生きる動物達を見るとします。素晴らしく感動します。正に自然の美、自然の芸術です。
また、たとえば、ルーブル美術館の絵画を見たとします。それらは、年月というフィルターに耐えてきた超一流の芸術群です。これまた素晴らしいもので心打たれます。
どちらにも我々は心動かされますが、自然と人工、その2者で決定的に異なるものは「作者の視点」です。
つまり、例えば、美しい風景を描いた絵画を見ている私たちは、そこにただ「美しい風景」を見ているのではなく、「作者の視点」を通した風景を見ているのです。
それに気づくと、一見難解なピカソの抽象絵画なども、「ああピカソから観た世界がこれなんだな」とちょっぴり理解できた気がします。
あらゆる芸術作品は、もちろんテレビドラマや映画、そしてドキュメンタリー作品も、この「作者の視点」を通して創られています。
何にフォーカスを当てて伝え、何を省略するか?そういう作者の意図が作品に込められているのです。
ノンフィクションはその題材が「事実」であり、フィクションはそれが「創作」であるだけの違いです。
たとえ、ノンフィクションのドキュメンタリーであっても、それを撮った「作者」がいる限り、必ずそこに明確な「視点」や「メッセージ」が存在するのです。
だから、ドキュメンタリーで全く同じ題材を扱ったとしても、それを撮る監督さんによって、作品は全く異なるものになる、極端な時は「正反対の視点」になることもあるのです。太地町のクジラ漁を扱ったドキュメンタリーの数々などがその一例ですね。
そう、もしかしたら、あなたが感動したドキュメンタリーは、「その瞬間」だけ切り取られた意図的な監督の視点からの「メッセージ」かもしれない、ということです。
すべては、「作者の視点」を通した世界。
そう考えたら、いつも見ているテレビや映画がちょっと違うものに見えてきませんか?ジブリ作品の森がなぜ実物よりも魅力的に見え、食べ物がなぜ美味しそうに見えるのか?も分かるような気がしてきます。
そして、ニュースなどももちろん完全なる事実ではなく「マスメディアの視点」を通した真実に過ぎないことも分かってきます。
極論ですが、この世界に「完全に自然」なんて物は存在しません。我々の目に入るもの、耳に聞こえるものは、すべて人がそのように意図して創り上げているものなのです。
人は、その中で「よりよいもの」を見つけたり、生み出したりして、それを共有したいと「芸術」を通してメッセージを送ります。それに観客は共振し、共感し、そのメッセージ、つまり「視点」を共有して感動が生まれるのです。
「伝わった!」という感動そのものには、どんな作品であっても優劣はないと思います。
まあでも、そういう私も、やはり良質のドキュメンタリーにはドラマはまだまだ敵わないのかなあと思わされることは多々ありますが・・・。
Re: デパ地下のグルメ - のりのりこ
2019/03/23 (Sat) 09:55:11
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ご返信、ありがとうございます。
確かに、ドキュメンタリーといえども作者の視点、意図があって、それによって、大きく揺さぶられたりするのですね。そこには気づきませんでした。
今、ドラマを見ると、どんなに第一線で活躍されている女優さんでも、基本的には同じ演技のように見えます。
意中の男性にときめいたり、ひどいことを相手に言われて戸惑ったり、傷ついたり、相手に真剣に自分の思いを訴えたり………演技の定番みたいなものがあり、多くの方は同じように演じられています。
でも、ドキュメンタリーを見てると、人々の動きは全くちがいます。概してあっさりしています。え?こんな動き?ドラマだったら、こう演技するのに、実際はこんなに動かないんだ……と意外に思うことが多いです。
それでいて、見ている人に何も伝わらないかというと、ビンビン思いは伝わってくるのです。
目指すべきはどちらだろう……と思うのです。
Re: デパ地下のグルメ - ウィナーズラボ
2019/03/23 (Sat) 14:44:42
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目指すのは何でも構いませんが、プロの俳優になりたいならドラマの演技ができなくてはどうしようもないですよ。
ドラマの演技とは、その人(その役)がいま考えていることが手に取るように伝わってくる「分かりやすい演技」です。ちなみに、ヘタクソな人は「その役」ではなくその役者自身の不安とか焦りがビンビン伝わってきてしまいますが。
映画などはそうではなく、時に監督の指示によって感情や考えを表に現さず演じます。まさに「秘すれば花」ですね。映画は90分間、観客はそれに集中して観てくれるからそれができるのです。
だから、映画は俳優はど素人でもかまいません。監督の視点によって切り取られた世界の住人なのですから。ドラマは「プロ俳優」の集まりでなくては成り立たない世界です。
だから、たまに主に映画で活躍している俳優さんがドラマで説明ゼリフをたくさん言わされてあたふたしているのをみかけますね。
「映画俳優」とは極論すればモデルに近い存在です。(まあ実際モデルさんがたくさん採用されてますが)
自分がモデルさんのような世界観を持っていて監督さんの知り合いがたくさんいるならいいですが、そうでなければ、「技術」をしっかり持ったプロのドラマ俳優を目指すべきと思いますよ。
Re: デパ地下のグルメ - のりのりこ
2019/03/23 (Sat) 22:13:53
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ありがとうございました。すごくよくわかりました!
そうですね、私はドラマができる女優を目指すのだと、今、はっきりわかりました。
また、がんばっていきます。
Re: デパ地下のグルメ - ウィナーズラボ
2019/03/24 (Sun) 01:00:49
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あなたの言うように、ドラマの俳優はみんな同じような演技をします。ということは、、、つまり、やはりそこには一定の「プロの演技技術」というものが存在しているということです。
それは「本当に自然」ではなく、台本を演じているのに「まるで自然」に見える技術です。台本の状況や事情、その役の考えなどが観客に手に取るように分かりやすく伝わってくる技術です。
その「まるで自然に見せる技術」をしっかり習得していってくださいね。それは最初からできる人にとってはとても簡単で何の困難もなくできることですが、俳優を目指す多くの人にとっては、かなり難易度の高いものです。
しかし、何とかしてその「基本技術」を身につけた人のみが、やってきたチャンスを生かすことができるのです。本番を重ねながらそれを磨いて行ってくださいね!