お嬢様のように - のりのりこ
2019/02/13 (Wed) 05:50:00
*.dion.ne.jp
いつもご指導いただき、本当にありがとうございます。
今取り組んでいる役があり、世間知らずの上品なお嬢様をやるようにと言われています。
そこで、深田恭子さんをイメージして、真似てやろうとしたのですが、そうすると自分ばかりに意識がいってしまい、演出家から、セリフのやりとりがまるでできていない、と言われました。
素の自分でやるなら、役の「したい」も、相手のセリフを聞くことも、一通りできると思うのですが、真似しながらですと、二つのことは同時にできず、真似だけになってしまいます。
どうしたものかと途方にくれています。
Re: お嬢様のように - ウィナーズラボ
2019/02/14 (Thu) 01:15:21
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素のあなたは必要ありません。というか、本当の「素」なんて自分を含め誰も分かりません。人は多かれ少なかれ演じながら生きているものですし、環境よって行動も態度も変わります。
ハレの席で輝いているあなたも恋人に裏切られみじめに裏路地を歩いているあなたもどちらも「本当の自分」です。
「色即是空空即是色」ですよ。
世界には「本当の姿」などはなく、ただ「意志」が存在するだけです。そして、演劇はその真実を具現化する為のものです。夢見る王宮のシーンも宇宙旅行のシーンも、裏に回ればただのハリボテなのですから。
また、あなたは2つのことが同時にできないと言いますが、それでは演技だけでなく、生活することも難しくなってしまいますよ。
人は、3から30のことに同時に注意を向けて考えることができるそうです。いまこれを読んでいるあなたも、テレビを見ながらだったり、明日の朝の支度のことを考えながらだったりするでしょう?料理だって一度に複数のことを考えながらやらないとたちどころに失敗してしまいます。
実際、テレビドラマなどの撮影に入れば、1つのシーンで5つも6つもダメ出しというか、動きやセリフの言い方やタイミングのチェックが入ります。また衣装さんやメイクさんや大道具、小道具、そして音声さんからも、ここは押さないでとかこれは裏返さないでとか、もっと声を張ってとかの注意があります。
多い時は、ワンカット終わって10ぐらいチェックポイントが追加されることもよくあります。それが当たり前です。
2つのことは同時にできない・・・それはただの先入観に過ぎませんよ。ということで、あなたの今回の困難もいつも通り「したい!が見つからない」ただそれだけと思います。
ちょっとタイミングが微妙ですが、あのカルロス・ゴーンさんの名言を送りましょう。
「他人からプレッシャーをかけられた時よりも、自分で自分にプレッシャーをかけて働いている方が、人は遥かに大きなことをやってのける」
せっかく深田恭子さんをイメージしようと思えたのなら、それに河北麻衣子さんと叶姉妹足して割ってみるとか、どんどん自分で課題を増やしてプレッシャーをかけていきましょう。
どんなことでも、悩んでいる人は、結局のところ、困難を抱えているわけでなく、やるべきことが見つからずヒマをもてあましているだけなのです。
Re: お嬢様のように - のりのりこ
2019/02/14 (Thu) 12:49:50
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早速、ご回答いただき、本当にありがとうございました。
ああ……役のしたいがつかみきれていない、ということですね?
とにかく、何度もチャレンジしてみます。それしかないです……
ただ、しつこくてすみません、もうひとつだけ確認したいのですが……
たとえば、ぶりっ子の女の子が、隣の男性にからかわれて、「いじわる~」と言って軽く肩をたたくシーンを求められた場合、(ふだん私はこんなことは絶対しないのですが、)これもこの役の「したい」をつかめば解決できる、つまり、
「相手の機嫌をとりながら、きりかえす」とか「相手にかわいいと思われるようにふるまう」などが、この役の「したい」と考えればいいのでしょうか?
Re: お嬢様のように - ウィナーズラボ
2019/02/14 (Thu) 13:00:03
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その通り。
ただもちろん、「可愛く見られたい」は「その人だけに」なのか、「すべての男の人に」なのか、「みんなに」なのかで、その役の言い方や動き方、つまり「反応」は当然変わりますね。
演技とは、その人の「したい!」と思っている世界を創り出し、それに対する「反応」を見せることで「リアルで自然」な作品世界を描く芸術です。
と、論理的に考えるとちょっとややこしくなりますが、つまりは観客から見たあなたの「キャラ」がそこに鮮やかに浮かび上がってきていればそれでいいのです。
「見所同見(けんじょどうけん)」です。
常に、自分にではなく「観客席から見た自分」に注意を向けていれば、答えはすぐ見つかります。
もっとサービス!さらにサービス!観客目線で演じてくださいね。
Re: お嬢様のように - のりのりこ
2019/02/15 (Fri) 06:09:48
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ありがとうございます❗やはり、これでいいんですね。「したい」を調整していけば、深田恭子さんにも近づけるというわけですね。とてもすっきりしました。また、チャレンジしていきます。
余談ですが……
こちらでのご指導のほか、テキストやブログを何度も読みました。一年前に比べ、すごくわかるようになったと自分でも思います。
登場人物の気持ちだけでなく、作者の意図、全体の中での自分の役の役割、まだまだ拙いのですが、それらを踏まえて演技を組み立てられるようになってきました。先日もチェーホフの舞台の演出からも評価してもらえました。
すべて、先生のご指導の賜です。
本当にありがとうございました。
これからも半歩ずつかもしれませんが、進んで行きます。
Re: お嬢様のように - ウィナーズラボ
2019/02/15 (Fri) 13:35:44
*.bbtec.net
それは良かったです。
演技の訓練とは、結局のところ「除去作業」です。
自分の持っている「固定観念、先入観、偏見・・・」などから抜け落ちて、「当たり前のこと」に気づくということですね。
だから、それさえ分かっていれば、ミュージシャンや芸人さん、また子役さん達のように、演技レッスンを全く行ったことがなくても、最初から「素晴らしい演技」ができるのです。
演技訓練は「積み重ね」ではなく「剥ぎ取り」。
その剥ぎ取り作業は、まだまだ続きます。そう、剥ぎ取った瞬間「目からウロコ!」となるのです。続けていけばこれからも何枚もウロコがポロポロ落ちていくでしょう。楽しみですね!