何度も繰り返すことについて - 曰比谷公園
2017/08/22 (Tue) 19:10:51
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今ついている演出家は、とことん作り物を嫌います。初めてそのシーンをやった時にすごくいいな、と言われても、次に同じようにやると余計なリアクションはするなと言われます。
演出家いわく、一回目は確かに面白い。だが二回目以降面白く演じる技術おまえにはない、とのことでした。たぶん新鮮味が失われ、段取りになっているという意味だと思いますが、そのような技術はあるのでしょうか?
Re: 何度も繰り返すことについて - 【ウィナーズ☆ラボ】
2017/08/22 (Tue) 23:42:32
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「ワンテイクめの罠」というやつですね。
最初行うと自然に演技できて、それをそのまま繰り返そうとするとどんどんぎこちなくなり、結局最初が一番良かったなあとなることです。
この「ワンテイクめの罠」も、プロとアマチュアを分ける重要なポイントの1つです。プロ俳優は、当然のこととして舞台でも、映像演技でも、「同じシーン」を何十回でも何百回でも、同じクオリティーで行えなくてはいけません。
舞台では何度も繰り返してシーンを作り込むのは、「当たり前」ですから、全く問題になりませんが、映像演技では、それは深刻な問題になります。ですから、”軽く”リハをして動きを決めたら、本番は一回しか撮らないという監督もよくいます。
シーンを繰り返しても演技がまったく劣化しない。むしろどんどん良くなる。
それができれば、「プロ俳優」としてとても重宝される存在になることができますね!
さて、このことに関しては、この掲示板でもブログでも、そして「演技の参考書」の中でも何度も述べていますし、すでに明確な解決法が確立された「基本中の基本」であり、「プロ演技の基礎」です。
これができなくては「プロ俳優」にはなれないのですから。
ですから、そのような技術があるかどうかと聞かれたら、当然「ある!」とお答えできます。
プロとして生活している俳優なら誰でもできていますし、また「プロ」の演出家もそれを俳優にさせられるテクニックを持ち合わせています。それができなければ「シーン」が作れないのですから。
一般論ですが、映画監督さんは、そういうことは分からないという方が多いですね。自分のイメージする「画を作る」ことが目的であって、「演技指導」には興味ない「一匹狼的」な方がほとんどですから。
逆にテレビドラマの演出家は、「局内伝承テクニック」もあるでしょうし、演技初心者のモデルやタレントに、うまく「演技させる」方法を知っています。
演技経験がない人が、もし何かで有名になって、いきなりテレビドラマに重要な役で「大抜擢!」されることになれば、そういった「局内伝承テクニック」をいろいろと味わえるかもしれませんね。
「ワンテイクめの罠」をくぐり抜けるということは、まさに「リアルで自然な演技とは何か?」という命題の核心に迫る事柄でもあります。
「リアル」とそうではないものは何が違うのか?つまりそういうことを扱うことになるからです。
ともあれプロ俳優として、それは「基本中の基本」ですので、しっかり訓練してできるようになって下さいね。
Re: Re: 何度も繰り返すことについて - 曰比谷公園
2017/08/23 (Wed) 07:39:08
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早速の返信ありがとうございます。
ともかく私にはその技術はないとのことでした。
テキストには確か毎回課題を持って臨むとあったように思います。
今回は妻が産気づいて、あわてて病院にかけつけ、「生まれたのか」と声をかけるシーンです。
何度もやって、言葉が生きていない、とか、前もって決めた段取りだ、と言われていたら、わけがわからなくなってしまいました。
課題とは?たとえば、妻は本当に五体満足の子供を生んだかどうか確かめたい、という意志を持ってシーンに臨む、ということでもいいのでしょうか?
Re: 何度も繰り返すことについて - 【ウィナーズ☆ラボ】
2017/08/23 (Wed) 10:14:58
*.bbtec.net
「技術がない」のではなく、いままではそれに興味がなかったと言うだけのことだと思いますよ。
スポーツなどでもそうですよね?ただ漫然と練習していたのが、試合で惜敗して悔しくなって技術の重要性に目覚める・・・。そういうことがよくあります。
「必要性のレベル」という言葉があります。ただ何となくでもできるものに対して、人は必要性を感じておらず、それ以上の向上は期待できません。
まずその「必要性」が上がるということが、ありとあらゆる技術習得に不可欠な要素だということですね。
「妻は本当に五体満足の子供を生んだかどうか確かめたい」・・・妻そのものには全く興味ないわけですね?なかなか昔の昼ドラのようなシュールなシーンになりそうですが、そういう事情ならそれでいいと思います。
ただ、「意思を持ってシーンに臨む」というのは、微妙ですね。それだと「ホントにオレそう思えているかな・・・?」とか考え出して、グルグルしてしまいがちです。気持ちを作ると考えると気持ちを作ろうと思っている人がそこに見えてしまうのです。
「したい!は外に持つ」のです!そこにその役の状況や事情(前後左右)を創り出し、自分はただそれに反応するだけでいいのです。
それが「正解」であると自分で確信し、それを持論にし、毎回プロとして当たり前のクオリティーで演じられるようになるには、「試行錯誤」が必要です。
つまり「ビデオフィードバック」ですね。やってみてそれをビデオに撮って検証してまたやるということです。
演出家の意見を参考にする・・・というのは、バイアスがお互いに入ってしまって建設的な訓練になることは期待できません。ビデオだけ信じてチェックすることが最も最短の訓練法ですね。
Re: Re: 何度も繰り返すことについて - 曰比谷公園
2017/08/23 (Wed) 11:34:05
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早速の返信、本当に本当にありがとうございます。
これから稽古です。
ご助言を胸にがんばってきます…